質疑応答一覧

第1分科会 心理的刺激による対策

若桜鉄道におけるレールキル防止用高周波発生装置の効果について
○辻 維周1・轟 秀明2(岡山理科大学 教育推進機構1・有限会社 T.M.Works2
質問 回答
半年間で19時から23時の時間帯に発生していたという話ですが夜間に限定されていたのですか?もし昼間発見されたとしたら目視で回避できているのかという気もしたのですが。 夜間限定です。昼間は0です。運転手さん、その他についても昼間見たことがないということです。
子鹿の時に低音域12kHzくらいまで下げたというお話がありましたが、おそらく鹿の行動パターンで、線路内を通過するのが子鹿が多い時期には周波数を調整するとかいう取り組みに使えるという考えでよろしいでしょうか。 はい、結構です。まだこれは実験ではあるのですが、12kまで下げたところ子鹿の侵入も0になっていますので、おそらく若桜地区に限るのかもしれませんが、子鹿のほうが低い音に反応するのではないか。本学の動物学科の教員に聞いたところ、まだ子鹿の場合耳ができていないからそういうこともあるかもしれないということです。
悪天候時や降雪などが続いた場合、ソーラーパネルによる鹿ソニックへのバッテリー給電は大丈夫でしたでしょうか? ソーラーパネル自身に相当の角度、70度くらいの角度をつけているので、ソーラーパネル上に雪が積もることはほとんどありませんでした。ただ、湿った雪の場合はどうしても積もってしまうので、その場合は若桜鉄道の方がすぐに除雪をしていただきました。私も月2回ほど向こうに通ってメンテナンスをしています。鉄道側と設置者側の連携が重要かと思います。
調査は継続されるのですか?最終的にどのように展開されるのですか? もちろん調査は今後も継続します。期限は切っていませんので、おそらく数年にわたってデータを取りながらより良い方向で持っていきたいと思っています。最終的には若桜鉄道の線路内のシカの侵入を0にまでしていきたいと考えています。
高速で走行する車両では効果が落ちそうということですが,何か今後の対策は検討されていますでしょうか? 今は通常2基体制で車両に取り付けていますがそれを4基体制や6基体制にすれば効果は上がっていくだろうと考えられますので、今年の夏に私の車に4基から6基つけて効果検証したいと思っています。
車両の速度に合わせて周波数を変えるような実験は予定されていますか? もちろんこれはいろいろと周波数を変えたり、スピーカー4つの周波数を1つずつ変える。もしくは2種類の周波数を設定するという形でしばらく様子を見ながら実験していきたいと思っています。
10月、11月にカメラ6でのみ出没を多数確認したとのことで、季節的に活動量が多くなる時期かと思いますので、周年での調査を継続されると、より、シカの行動の変化がわかるかと思いました。 はい、今のところ2年間この調査を継続するつもりです。
(コメント)シカが良く通るアンダーパスに続く獣道は狩猟者のワナ猟場となりやすいので、捕獲を避けるように周知するのが良いと思います。 ありがとうございます。周知済みです。
(共著者より補足)
鉄道に関してはJR東日本・大月支社・千葉支社・富士急行・京都丹後鉄道に設置済みです。このほか、大井川鉄道 2編成に鹿ソニックを取り付け走行しております。(T.M.Works 轟)
【動画】「鹿ソニック」で野生動物を守る 岡山理科大学教授の取り組み【岡山】
シカ警戒声を利用した列車とシカとの接触事故防止手法の開発
○志村 稔1・潮木 知良1・池畑 政輝1(公益財団法人鉄道総合技術研究所 生物工学研究室1
質問 回答
シカが線路に来る要因として、レールなどの鉄(ミネラル)を栄養資源として見なして出てくることもあると思いますが。 我々の試験期間中に沿線でシカがレールをなめている様子が観察されたことはないので正直なところ分かりません。鉄粉をまいておくとシカが寄ってきてなめているという映像を他の方が発表なさっています。一方、ミネラル分が豊富な場所、海に近い場所などではあまり効果がないという報告もあります。そういう地域では誘引の効果は薄れることが考えられます。
季節によって効果の違いはありますでしょうか?(特に秋には効果が低いなど) 営業列車から忌避音を吹鳴する試験を去年から通年で実施しています。まだ試験を継続中であり、結論には至っていませんが、繁殖期などの行動が活発な時は件数が増加傾向にあるようです。その辺りについては、これからデータを詳しく解析していく予定です。
警戒音によって静止してしまった鹿を撥ねると言う可能性はありませんか?若桜鉄道では半年でレールなめは一件もありませんでした。 北海道での試験に際しては、20頭、30頭のシカ群れに遭遇することがありますが、個々の反応は違います。すぐに逃げていく個体もいれば最後までじっとこちらを見ている個体もいます。したがって、一概には言えませんが、今までの経験からは列車に向かって走ってくる個体はいませんでした。中にはずっと動かない個体もたまに観察されます。しかしながら、忌避音を鳴らしている方がシカの移動開始が早くなる(列車とシカとの距離を測定した結果)というデータを得ています。我々の忌避音ですべてが解決するとは考えていません。いろいろな地上対策、柵をやるとか、徐行区間を設けるとか。そういったもの、いろいろな方法の組み合わせで1件でも減らせればいいと思います。コンセプトの異なるそれぞれの対策の効果が上がってくるのではないかと考えています。
音量はどの程度でしょうか。民家などでも今後利用可能な程度の音量でしょうか。 音量についてはスピーカーから1mのところで90~100dB程度になります。参考までに鉄道の警笛は2mで110~115dBなので、警笛よりは低い音量になっています。民家への影響については、大体民家から100mくらいのところで自動的に止めるようにしていますので、家の中にいれば音が鳴っているかどうかよく注意していないと聞こえない程度の音量になります。また、民家の近くで自動的に音量を下げるようにすることも出来ます。
イヌの鳴き声は威嚇や遠吠えなど種類があると思うのですが、何を参考にされたのかお聞きしたいです。 犬の声を選ぶ基準は、遠くに届きやすいことを重要視しています。低いうなり声のようなものだと列車の走行音と混ざってしまって聞こえにくいため効果がでにくいだろうということで、比較的高めの、なるべく列車走行音に紛れない、遠くまで届きやすいものを探して使っています。
イヌの鳴き声は慣れてきて、本物がいないと認識したら効果が薄れることはないのでしょうか?また犬種(小型犬・大型犬等)によってレスポンスに違いはあるのでしょうか? 継続的に研究していかなければならないと思っていますが、音がしたあとに実際列車が走り抜けるという刺激が一つのポイントだと考えています。要するに、忌避音が鳴ったら危ないものが通る、ということを学習してくれれば、効果は継続するということです。列車の通過時だけで、線路に近づくと年がら年中鳴るわけではないので、そういったところでの慣れも少し抑制されるのではないかと期待しているところです。犬の種類についてはまだしっかりとして検討はできていません。
通過音はどの程度の音量なのでしょうか? 忌避音の音量測定は、現在データをまとめているところなのですが、スピーカーの1m手前で90~100dB程度にしておきますと、駅で聞いていれば風などの気象状況によって変わってきますが、3~400m先から音が聞こえます。列車自体の通過音は、車両形式や速度によって変わるため一概に言えませんが、騒音対策の指針にもあるように、等価騒音レベル(LAeq)として60dB以下に抑えられています。
列車に取り付けた鹿の警戒音ですが、一度鳴らすだけでしょうか?もしくは、間隔をあけて何度か鳴らすのでしょうか?間隔をあけて連続で音を出す場合、どのくらいの時間をあけて音を出すのでしょうか? シカの出没が多い区間を調査し、その区間内では連続的に鳴らしながら走行するようにしています。区間の長さは数百メートルから数キロまで様々です。
獣害対策忌避製品の開発
○村井 悠1・松田 太樹1・柴尾 幸弘1・秋庭 英治2・八木 亮祐2・佐藤 真人3・鹿野 たか嶺3・野呂 美紗子3
(理研興業株式会社1・クラレトレーディング株式会社2・一般社団法人 北海道開発技術センター3
質問 回答
観察の感覚でけっこうですが,個体によって反応の違いは大きそうでしょうか? 西興部の試験の話で行きますと、反応が大きいと感じたのは小さい個体。反応が大きくて遠くから見るような様子も見受けられることが多かったと思います。大きい個体、角が大きい個体に関してはもともと人に慣れているのもあるかもしれませんが、エサを与えてしまうとエサのほうに一直線に向かってきてしまって、忌避剤を見る・見ないの前に侵入してきてしまう個体もいましたので、そこら辺に関しては今後もう少しいい試験材を作成して実施したいと思っています。
臭気材料の持続期間について、ネットとマットと言った使用条件で違いは出てこないでしょうか? これに関してはまだきちんとした確認はできていないのですが、やはり風当たりの強い場所に関しては臭気の抜けは少し早いかなという印象を受けています。ネットとマットで行くとマットのほうが臭気が残りやすいのではないかと思いますし、今回塗料に関しては簡単に塗っているので、風の当たる面積はそこまで多くないので、塗料に関しても持続性としてはネットに比べると高いものになるのではないかと考えています。
臭気が継続し忌避していても、ロードキルは減らないように思います。 おそらく慣れの部分の話が出てくると思いますが、当初から気にしている部分ではあります。対策に関しては今回もいろいろな種類のものを作成しましたが、嫌がるにおいのタイプを変えながら定期的に入れ替えていくことで、臭気にできるだけ慣れさせないようにしていくということができないのかということは考えています。
カプサイシンネットについては、紫外線から保護する材料を混ぜることで寿命が延びないでしょうか? カプサイシンネットにつきましては、紫外線の観点から考えると、保護材料を入れることで寿命が延びる可能性があります。現状ではカプサイシン成分が早い段階で表面に出てきて、流出してしまうことで寿命が短くなってしまうことから、まずは樹脂に留まらせる改善を図りたいと考えております。
木タールとカプサイシンでは材料コスト的にはどちらが高いのでしょうか。 材料コストはカプサイシンの方が高いです。
木タールは使用用途が狭く、産業廃棄物として処理されることも多くあることから、材料コストとしてはほとんど掛かりません。
獣害対策において農地でカプサイシンでの忌避効果の短冊などは扱ったことが有りますが効果は1年との事でした、今後は侵入防止ネットなどといった形での展開をお考えでしょうか? ネットであれば侵入防止ネットということで考えております。
臭気を発することで、周辺に近づかせない効果を期待していますし、仮に近づく動物がいても物理的に対策ができることも想定しています。
(コメント)忌避剤を対象とした効果確認試験ですが、サンプルはかなり少ないように感じますので、今後継続してサンプルを増やしていって、信頼性を高めていただければと思います。野生個体のモニタリング調査はこれからになると思いますが、期待しているところです。できればこういった、いろいろな取り組みがあると思いますが、例えば子供の個体と大人の個体では傾向が違っていたり、雪の関係ももしかしたら見る必要があると思いますし、最大なのは共通ですが慣れ的なもの。そういったものも長期的にモニタリングして効果検証していただければと思います。 貴重なコメントありがとうございます。
現在、今回発表させていた内容をもとに、改善を図っており、検証方法等につきましても定量的なデータを蓄積し、より効果の高い製品を提供していきたいと考えております。

今回は製品開発をテーマに検証を進めておりますが、実施した内容が鳥獣被害対策を検討される方々にとって少しでも役に立つ内容になればと考えております。

第2分科会 保全

オホーツク海沿岸地域の原生花園におけるエゾシカによる植生被害状況
○丸山 立一1・中島 卓也1・重松 琢和1・中園 美紀2・中島 浩之3・丸山 まさみ4(株式会社構研エンジニアリング1・中標津町教育委員会2・上川総合振興局3・松籟庵4
質問 回答
囲った柵ですが、写真で見た感じだと結構運びやすそうな簡易な形のものなのかなと思いまして、今後5年間ここにずっと設置するとなりますと、いい時期に行ったら穴が開いていて、食べられていたとならないような工夫、または柵がそういう風にならないようなものがあれば教えていただきたい。 春先の食害が一番気になるところで、我々も悩んだのですが、結果的に頑張ってはやめに補修に行くことにしています。雪の中から掘り出すような形で、去年の春は対応しました。例えば、ネットの上部の結束箇所を外して雪が降った時にずり落ちるようにする方法も取れるとは思うのですが、春先に食べられるというのがすごく気になるので、できるだけ早く言って補修する方法を今のところは選んでいます。
ちなみにネット自体はそれほど簡単なものでもなく、結局今回助成金をいただいたもののほとんどがこのネット、柵を作るのに費やしたお金になっています。
ワッカ原生花園の除外区で2年と3年で植被率が下がっている要因は、何でしょうか。 去年の夏の降水量が非常に少なくて、多分乾燥によって枯れてしまったものが多いのではないかと思います。Googleの写真を見てもわかると思うのですが、調査区を設置しているあたりは真っ茶色になっているくらい、ひどく乾燥していました。たまたま今回ワッカだけ茶色くなっていて、エサヌカ、ベニヤのほうは枯れの確認はなかったのですが、たぶん7月に調査やったか、8月に調査やったかの違いだと思います。8月に調査をやった方(ワッカ)はだいぶ枯れていましたし、エサヌカ・ベニヤの方も、しおれている状態ではありました。
ワッカのシカ生息状況は2年と3年で違いはあったでしょうか? ワッカでは大きくは変わっていないと思います。具体に何頭いるかは分からないのですが、別の調査で観察はし続けているのですが、そんなに変わっているような感覚はなかったです。何頭という数字は出していません。
エゾシカによりシカ柵が壊される事例はありませんでしたか? 今回2年間でやった中ではそういう事例はありません。穴が開いていたというのはありましたので、もしかしたらウサギが入ったというのはあるかもしれませんが、基本的にそんなに大きく壊されていることは雪以外ではなかったです。
ワッカの調査区ですが、ネットをかけることで風当たりの影響が出ている可能性は考えられないでしょうか。 十分考えられると思います。今年はネットの目合いもう少し大きくしてやってみたいと思っています。
道路事業における希少植物エゾエノキの保全事例
○漆原 強1・池田 幸資1・北川 輝久生2・東 英俊2・尾野 陽子2(パシフィックコンサルタンツ株式会社1・北海道開発局 札幌開発建設部2
質問 回答
塩ビ管で移植することによってすごく簡易にやりやすく移動することができたとあったのですが、塩ビ管は底もあって鉢状に作ったというものですか。 塩ビ管の下は開けておかないと、根が下に伸びなくなり成長が悪くなりますので開けている状況でした。そのまま掘り起こすと塩ビ管からすり落ちてしまいますので、掘り取るときだいけ塩ビ管の下にスコップを当てて持ち上げる形で移植していました。
エゾエノキは、発芽後何年後に、種子を採取することができますか? 具体的にエゾエノキが成長して実をつけるかは不明確な状況です。しかしながら、樹高が1mを超えると陰樹から陽樹となり大きく成長していきます。そのため、5~6年経過すれば種子もついてくれるかと思います。なお、エゾエノキが1株だけだと単木で種子が付くことが難しく、複数、エゾエノキがあることで種が付きやすい環境が広がると思います。
移植先の適地選定の考え方をご教示願います 移植先の適地については苗の小さいときについてはある程度の被覆環境が必要ですので、樹林の中のカバーがあるような環境で移植したものを播種するということでかなり多くが生育するということが今回わかっております。そういうところである程度大きく育てながら、陽樹にかわる、1mを超えるものについては日向環境へ移植しておくことが必要かと思っています。
樹下植栽の場合は樹木による光量不足が懸念されますが、それらによる生育不良の事例はありませんでしたか? 今回樹下植栽で移植していますが、そもそもある程度大きくなっているものを移植していますことから、今移植したものの株数については生育不良今のところ確認されていない状態です。育苗中のところについてはやはり1株~数株なくなっているといいましたが、同じ環境でも理由は不明確ですが、枯死してしまったものがありますので、そのあたりは把握しきれていません。
種を植えてからネットを設置されているということですが実際にどのくらいの時期でネットを外しているのかお聞きしたいのですが。 雪解け直後ですので4月の中旬にはもうネットを撤去して日が当たるようにしていました。
今回移植のお話わかりやすく書かれていて、非常に興味深かったのですが、最初に果実を集めたという、集めた範囲、何本くらいを想定して種を集めたのでしょうか。 エゾエノキがどれくらい播種して増えるかというのも文献がなかったのでわからない状態でした。必要な株数としては2株3株程度だったのですが、多めに取れれば、採取できれば多く採取してみようとした結果277粒採取できて、感覚的には1株2株芽が出ればいいと思っていたのですが、現在は、かなり多く増えている状況です。
鳥類による固定式視線誘導柱への営巣
○三上 修1(北海道教育大学 函館校1
質問 回答
巣ができている誘導柱の中で、夜間に点滅するタイプはどれくらいありましたか?点滅色の分布もわかれば教えてください。 この調査地には点滅するタイプのものはありませんでした。別のところで調査をしていて、点滅するものの中にも巣をつくることが分かっています。その場合色についてはそこまで詳しく調べていません。話が少し違うかもしれませんが、本調査では、支柱の色が、銀と茶のものがあります。データ数が少ないのではっきりとは言えないのですが、ひょっとしたら色によって巣の作りやすさが変わっている可能性はあると思っています。
営巣空間としての物理的条件、サイズ等をご教示願います。ほかにも蓋のないパイプ状の物件はあるのでは?また、ロードキルを誘発する可能性はないでしょうか? 営巣空間の物理的条件は種によって当然違っています。固定式視線誘導柱の中は、スズメにとってもおそらく狭いはずです。「ほかに蓋のないパイプ状の物件」は、例えば電柱についている腕金に巣をつくることがあります。「ロードキルを誘発する可能性」は正直わかりませんが、鳥は固定式視線誘導柱に出入りする際に、結構高いところを行き来しますので、そんなに影響はないのではないかと思いますが推測にすぎません。
穴が埋まっている理由もしどなたか知っている人がいましたら、情報等お伝えいただければと思います。 本調査地では、固定式視線誘導柱の端が塞がれているところと塞がれていないところが、区間によって明瞭に分かれていたので、渡島振興局の担当の方に問い合わせをしたのですが、正直わからないとおっしゃっていました。発注する時の何かの事情か、発注を受けた側の何かの考えで塞がれているのではないかということでした。

第3分科会 ロードキル

野生動物との交通事故対策となる動物検知システムに関する事例紹介
○佐藤 真人1・鹿野 たか嶺1・野呂 美紗子1(一般社団法人北海道開発技術センター1
質問 回答
いろいろな事例を見ると、警戒標識と動物検知システムを組み合わせることによって、ロードキルのリスクを下げる効果があるという受け止め方をしたのですがいいのですか。 報告事例においては実際にロードキルの低減効果が示されているものがありましたが、報告の多くは、車の走行速度に着目しており、速度の低下がみられたことから、事故を起こすリスクが減るという考えでした。
検知するということにおいて、センサー自体はエリア検知タイプとビーム遮断タイプに大きく2つに分かれていて、適材適所ということになると思いますが、こういったところはエリア検知タイプで、こういったところはビーム遮断タイプとか、事例研究の中でセンサー自体の特徴と設置の仕方みのような、見えてきたことはないのでしょうか。 比較した報告はありませんが、例えば交差点のような車も通るけれどもシカもそこから道路に侵入するようなところには、ビーム遮断タイプは利用できません。このような状況や道路本線上の動物を検知する場合は、エリア検知タイプ+画像処理等の技術を組み合わせることで可能となるため、設置する環境によって、使い分けが必要だと考えています。
検知結果を道路電光掲示板に反映させることは可能でしょうか。台湾ではそれを行っています。 現状すぐそういうことは難しいと思いますが、将来的な展望としては可能になる技術だと思います。
動物検知システム設置区間は追い越し禁止区間でしょうか? 海外事例については詳細の情報は得られていませんが、釧路・根室の状況については追い越し可能区間です。奄美大島も禁止区間ではないのですが、林道のような細い道ですので、道路の状況はそれぞれ異なっている状態です。
(コメント)対象となる動物によっては、常に同じ場所を通る種、出現場所があまり固定されない種がいますので、他の方法との複合的な利用も検討するといいのかと思います。 コメントいただいた通りだと思います。同じ種でも道路周辺環境の利用状況(餌場、移動場所など)で行動が異なる場合もありますので、対象となる動物の行動、道路周辺環境等複合的な要因に合わせて、使い分けや組み合わせを検討し、複合的に利用することで有効な対策となると思います。
北海道十勝地方における中型食肉獣のロードキルエゾタヌキとキタキツネを比較して
○添田 若菜1・園田 陽一2・柳川 久1(帯広畜産大学1・地域環境計画21
質問 回答
ロードキルの場合は沿道環境と道路そのものの交通量、交通速度とも大きな関係があると思います。北海道の場合冬場になるとスピードが積雪路面だと20%くらい下がることもありますし、交通量が多いとそれだけロードキルが発生する可能性が高くなるということもあると思います。その辺の影響は今回分析には入っていませんが、今回入れなかった背景があるのか、それともそれもまた今後なのか、交通の影響はどのように考えますか。 ご指摘いただいた通り、ロードキルに関与する要因として動物側の要因のみならず、道路の構造、速度等の人為的要因も関与しており、それらを総合的に考慮する事によってより良い結果が導き出せると思います。今回は、卒業研究という時間、資源がかぎられた状況でのアプローチでしたので主に動物の習性や周辺環境などの自然環境に主眼をおいた解析となりましたが、今後新たな考察を考えていく上で検討していきたいと思っています。
キタキツネとタヌキで事故多発地点を見ると、タヌキは多発地点が小さいエリアに固まっていて、キタキツネはほぼ全域にロードキルが起きています。キタキツネはタヌキに比べると非常に生息エリアが広範にわたっていてそれに対してタヌキは比較的生息エリアが非常に狭いエリアにある程度限定される、動物そのものの習性の違いはあるのでしょうか。 十勝地方ではタヌキの生息は森林に強く依存する傾向にあります。一方で,キツネは森林にも生息していますが,むしろ農耕地や市街地に多い傾向が見られます.また個体の行動範囲を見てもタヌキは半径200m~500mであるのに対してキタキツネの行動圏は倍以上の半径約1㎞であるという先行研究がありますので、個体レベルで見てもキツネが広い範囲を移動しています。
事故発生地点の周辺環境が森林と農地のある里山環境という話がありますが、十勝管内の圏域でもそういう環境で道路が走っている場所はほかにもありますよね。今一番多発しているエリア以外にも似たような環境があると思います。そちら側ではあまり発生していないのは何か発生しているエリアとの違いはあるのでしょうか。 過去30年くらいを遡ってみると、十勝ではタヌキの個体数が少なく、分布も限られていました。おそらくタヌキにとっての天敵にもなり得るキツネの個体数の多さが一因だと思われますが、一時期流行した疥癬と有害鳥獣駆除でキツネの個体数が一時的に減り、それ以降タヌキの分布が広がった可能性があります(それを裏付ける直接的なデータはないのですが。同様のパターンは野ネコにもみられ、またウサギの分布も近年広がっています)。タヌキの交通事故地点が限られた範囲であるのはそれが原因の一つであると考えられ、近年になってタヌキの分布の広がりが見られますので、今後は広い地域で里山的なタヌキが好む生息環境で事故が起こる可能性があると思います。
興味深いご発表ありがとうございます。RK数の季節や繁殖年での増減は年を通じて安定的だったのでしょうか。それとも、年変動がありそうでしたでしょうか。わかりましたらお教えください。 年によって多少の変動はありますが、基本的にはキツネもタヌキも同じようなパターンを毎年示しているようです。タヌキに関しては、北海道と本州の間でも基本的には似たようなパターンでした。タヌキの季節変動の図には標準偏差を示していますが、このくらいの変動であれば大きな変動ではないかなと、判断しました。
2000年以前のデータですが、死体回収の年間推移のグラフは現在の死体目撃の傾向に合致しそうだと思いました。ロードキルの起こりやすい道路について、その周辺環境ファクターの他、道路の制限速度や直線・カーブなどの要因も関係するのでしょうか。 ありがとうございます。ロードキルの起こりやすさは、ご指摘の通り道路構造も関係すると思います。カーブなど見通しが悪い場所、直線道路や幅が広い道路などスピードが出やすい道路の付近で事故が多発する可能性があります。ただ、北海道の国道は本州の道路とは少し状況が異なり、本州の高速道路に近い部分があるかもしれません。
この対策ありきで進められていませんか?違うデータであっても同じ対策になるように思えます。 実際には対策ありきで始めた仕事ではありませんが、最後に示した対策は別に今回の仕事でなければ導き出せないというものでもない、ごく一般的なものとなってしまいました。今回はいただいたデータをもとにしたデスクワークによる結果で、現地での調査等を交えればもう少し北海道、あるいは十勝ならではのオリジナルな対策が示せたかもしれません。
エゾタヌキとキタキツネの事故が発生している場所はほぼ重なっていないようでしたが、例えば、自治体の農業被害の発生傾向とロードキルの発生件数の比較などは可能でしょうか。 実は私も、それはちょっと考えて農業被害や有害鳥獣駆除の記録を調べたのですが、キツネは農業被害だけでなくエキノコックスの媒介者としても駆除されるため、十勝管内全域で年間約3,000頭が駆除されています(それだけ駆除されても交通事故が減らないのが不思議ですが・・・)。一方でタヌキは十勝管内では広尾町など一部で被害が報告される程度ですので、駆除個体も少なく、現状では比較できるデータとはなりませんでした。
(コメント)個人的に、ロードキル発生要因は、①広域な視点(ご発表の様な景観生態学的な視点)、②狭域な視点(事故のその瞬間、どのような行動をとっているか)の2視点があると思います。①で多発地点を絞り込むことに加え、②のように「どのように事故が起こっているのか?」も明らかに出来れば、供用後道路の防止対策に寄与するのではと思いました。 ご指摘いただいた通りだと思います。今回は開発局からいただいたデータを色々と調べた結果であり、デスクワーク中心の広域的な解析に留まりましたが、現実的な細かな対策までを考えると実際の事故地点等の現場での調査は不可欠であると思いますし、実際にアドバイザーの立場で対策を提言するときはそれを心がけています。
ロードキルで生じた野生動物の死体を疫学研究に応用する
○浅川 満彦1(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 感染・病理学分野1
質問 回答
道路管理者や委託された業者が死体を回収、処理する場合の注意点などがあれば、ご教示いただけたらと思います。 死体の種類、大きさや状況によって変わってきます。保有している病原体が少しずつ違うので。ひとまとめで言うと体液、血液や尿、そういったものを飛散させない。大きいものや血まみれになるものだとどうしても飛んで行ったりするのですが、それが目に入ったり皮膚につくとそこから侵入する細菌もあります。ひどい場合失明することがありますので、ゴーグル、使い捨ての手袋、あるいはひどい死体だとタイベックスの全身防護服を含めて考えられた方がいいと思います。おそらく仕事は死体回収だけではないでしょう。他の仕事も兼ねてらっしゃると思います。かなり慎重にやられたほうがいいと思います。
このような野生動物からヒトへの感染に加え、野生動物から家畜へという経路も想定されます。たとえば、シカの死体を運んだトラックを牧場でも使用するような場合、口蹄疫ウイルスなどを運んでしまう危険もあります。
私の周りでも鹿等の骨で家の装飾やアクセサリーを作っていらっしゃる友達もいて、私もやりたいと思っていましたが、安易に拾って加工などしない方が良いのですね?煮沸などすると良いのでしょうか? 拾った時点で、煮沸は当然していただいて構いませんし、骨の標本を作るときは煮沸しますが、ファーストコンタクトでどの程度きちんとした対応ができるかだと思います。血まみれのものを安易に触ると、手袋をしていたとしてもしぶきが飛んできて、皮膚につく、粘膜に入ったりということもあります。感染症はどういうものか、病原体とはどういうものか知識の根底にあって、そこから派生して標本をつくるほうが早い。枝葉のいいですかという話ではなくて、根本の話で、それが教育だと思います。動物を扱うときはまず感染症ということを基本的な素地として持っていていただければおのずと注意することは出てくると思います。
(上記赤字の部分は、たとえば、これを噛み砕いで解説させて頂いた拙著『野生動物医学への挑戦』(東京大学出版会、2021年6月刊)をご覧頂ければ幸いです)
時々山を歩いていると落角した角だけ落ちていますがそういうものはまだ大丈夫ですか。 他の丸ごとついた体の開いたものに比べればバイオリスクは少ないと思いますが、それにフンなどがついていることがないわけではないので、きれいな状態で落ちているわけではないので。
轢死体を安全に回収・処理するためのマニュアルやガイドラインはあるのでしょうか?鳥取県の市町村にて轢死体回収担当職員さん達にロードキルのヒアリングをした際、感染症に配慮した安全な轢死体の回収方法などのマニュアルが無く、担当になった職員が場当たり的に対処しているという話を聞きました。疫学研究への応用のかなり手間の話かもしれませんが、ご教示いただけますと幸いです。 この研究会を通じて鉄道総合研究所の方に依頼されて、死体の回収マニュアルを作ったことがあります。それが世の中に出てこないだけで。ずいぶん前の話なのでバージョンアップをした方がいいかもしれません。
同じ種だとしても、地域ごとに異なる細菌を持っているということもありますか もちろんありますし、それを解明するのが疫学だと思います。あるという前提で考えられていいと思います。
もちろん、人為的な影響などで汎世界的な分布をする病原体もおります。しかし、病原体も生物進化の理に準じますので、分布に規則性があるものが多いという意味で、即答してしまいました。なお、私は病原体(モデルは野生哺乳類の寄生線虫)の生物地理をライフワークにしており、病原体伝播や風土病の起源などを考察する上での基盤情報となっています(いや、なってくれれば良いのだがなあ、と思っています;笑)。これも上記拙著で紹介しています。
ロードキル含め野生動物の死体や衰弱している野生動物(特に鳥類)に安易な装備で接触する一般住民の方が多く、こちらの情報発信不足を本年しみじみと感じています。フォーラムやセミナーには、こういった情報に興味関心のある方が多いと思いますが、全く興味関心のない方に知っていただくコツなどあるのでしょうか。 まず、そもそも、死体についてですが、道路の上にあれば、須らく交通事故と見なしてしまう(単純、いや失礼、素朴な;笑)思考から抜け出すべきです。本当は別の場所で、別の原因(動物虐待や密猟)で殺され、道路の上に放置(あるいは荷台から落ちた)かも知れませんよね。要するに、眼前の死体の本当の原因(死因)は何かという科学が必要です。それが獣医学では新興的な分野・法獣医学です。詳細は、拙著『野生動物の法獣医学』(地人書館、2021年12月刊) をご覧下されば幸いす。
その解析の過程は、まさに、ミステリーを解き明かす感じなので、興味のあまりない方でも、注目してもらえるかなあ、と期待しています。
もちろん、ロードキル絡みであっても、いつ、どのような状態でその事故が起きたのかなどの情報を得る場合もあります。これはロードキル発生要因の解析の一助としても援用されましょう。
それと、感染症(病原体)のこと、救護のバイオリスク面からの危険性、されど、放置できないという苦悩などは、噛み砕いで解説させて頂いた拙著『野生動物医学への挑戦』(東京大学出版会、2021年6月刊)をご覧頂ければ幸いです。
狩猟される方は、その資格を得る際、感染症について学習されますが、それ以外、たとえば、趣味で剥製や骨格標本を収集されるような一般の方にも、心得ておいて頂きたいことでもあります。野生動物の死体を教育に末擁することは素晴らしいことなのですが、あまりにも安易な(あるいは、安易に見える)ことを許容する寛容性は、失われつつあります。もし、皆さんの周囲でそのような方がいらしたら、それとなく声をかけて頂く。このようなことも、広く知って頂く方法かもしれません。
諸外国のロードキルデータ収集システムの実態分析
○伊東 英幸1・越川 結葵2・藤井 敬宏2(日本大学1・開発虎ノ門コンサルタント株式会社2
質問 回答
データを収集し、公開していることによって、情報を投稿している一般市民は何か特典のような、プラスとなることはあるのでしょうか。また、継続されているということですが、投稿頻度というか、最初は盛り上がったけれど、最近は投稿や参加者が減っているといった声はありましたか? 特典として興味深かったのは、台湾でインタビュー調査をしたときに、RKデータを多く報告したランキングのコンテストなどを行っていました。(辻先生補足:年会で回数が多い人が表彰されています)
市民としては多くのRKの報告をすることで良いことをやったという思いに加え、表彰されることでモチベーションが保てるということはあると思います。それ以外の国と組織ですと情報が見られなかったので、そもそも参加している人自体がそういったことに貢献したいということで意識が高い方が多いという印象です。データベースの中では、アクティブなデータ提供者とそうではない人がチェックされているケースはありました。
RKデータ提供者が減少しているかはメールでは細かいところは聞けなかったので、分かればお知らせしたいと思います。
全体の事例をお聞きしていると基本大学が中心となりながら、道路管理者のデータも統合していると言っていましたが、実際どの程度、データそのものは住民の方と道路管理者のデータがダブる可能性があるのではないかと思うのですが。そういったことでは作業してダブりを取るとかして統合しているのか、発表だけお聞きしていると道路管理者の感じが見えなかったのですが。その辺はどうなのですか。 アメリカのカリフォルニア大学は重複していると考えられるデータは確か削除していました。ただし、CHiPsからのデータはフリーウェイのデータが中心になってくるので、生活道路や市内の道路になってくると重複してこない。フリーウェイはロードキルのデータがあっても途中で降りられないので基本的にはあまり重複しない。住民が生活道路などで、同じRKを見て同じデータを送ってくる場合もあるので、それは可能な限り排除するというお話はされていました。確か、台湾のほうも重複しているものはなるべく排除しています。
たくさん投稿すると表彰されるという話ですがエスカレートすると止まってはいけないところでも止まって、危ないところでも写真を撮るのではないかという危惧を持ってしまうのですが、そういうことは大丈夫なのでしょうか。 そんなに問題になっている話はないです。わざと引いて写真を増やすということも一応ないと思います。実態はよく分かりませんが基本的には性善説にのっとってやっていると思います。
保険会社のデータの海外での利用状況はどのようになっているのでしょうか? 保険会社のデータに関しては,特に活用しているという報告はありませんでした。米国でも活用はしていませんでした。
ご説明の中でカリフォルニア州でフェンス対策について、便益計算をされて1年でペイできるというお話がありましたが、資料元などわかればご教示いただけないでしょうか。計算に用いられた変数などを知りたいところです。おわかりになればで結構です。 引用した資料はRoad Ecology Centerの2017年のレポートで、下記のリンクで公開されています。
Impact of Wildlife-Vehicle Conflict on California Drivers and Animals

この中で社会費用(コスト)の算定は、下記のUSDOT(2013)の資料を引用として計算しています。
VSL Guidance 2013.pdf

フェンスのコストは記載されていませんでしたが、実際にかかるコストを基に算定し、費用便益比を算定していると思います。