ご挨拶

「野生生物と交通」研究発表会は、「野生生物」の保全と「交通」の安全等に関する情報交換の場として、2002年より開催しており、今回が第22回目となりました。

人間の社会、経済活動の拡大に伴い、自動車、鉄道、飛行機、船舶等の交通技術は飛躍的に進歩しています。その一方で、野生生物と人間活動との接触機会が増え、結果として様々な影響が顕在化していることも事実です。

エゾシカと自動車、鳥類と飛行機の衝突事故などはその例であり、野生生物保護と交通安全の両面の課題になっています。また、外来生物による生態系への影響が懸念され、緑化活動においても極力自生種を導入することなどが求められています。

さらに、2019年末から全世界的に拡大を見せた新型コロナウィルスの感染拡大は、社会の枠組みや経済活動に大きな影響を及ぼし続けています。人間活動の縮小により、野生生物の行動範囲が拡大する現象も見られ、今後の野生生物と人間の関わりに関する新たな知見が求められています。

野生生物と交通に関わる諸問題は、異分野間にまたがる学際的な研究テーマでありながら、その情報交換の機会が極めて少ないのが現状です。貴重なこの機会に、多くの方々にご参加いただき、活発な情報交換の場としてご活用下さいますようお願い申し上げます。

一般社団法人北海道開発技術センター 理事長 倉内公嘉